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博多のオアシスGARB LEAVS。個が輝く場

博多のオアシスGARB LEAVS。個が輝く場

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はかた駅前通りを進み、一本奥に入ると緑が生茂る大きな一軒家が現れる。2016年に福岡・博多にオープンした「GARB LEAVS」(以下、リーブス)だ。近くを歩くだけで店内の楽しそうな声が聞こえてくる。地場のネットワークが強く、他県からの進出が難しいとされる福岡で「博多のオアシス」と愛され売り上げを伸ばしている。人気の理由とは?

「仲間」の成長が店の成長へと繋がる

ファビオ:リーブスが良くなっていったのはスタッフの成長があったから。それ以外はない。

そう断言するのは九州の店舗を取り仕切る株式会社グローリーブス 代表取締役社長 本多威悠(ファビオ)*。一店舗に10人強という社員数を確保したのもスタッフの個性を伸ばすため。得意なことだけに特化させるのが目的だ。

*バルニバービではミケーレやイタリア料理に特化した店舗に所属するとイタリア名がつけられることがある。ファビオ、レオン両名とも最初の店舗がミケーレだったためイタリア名で呼ばれている

レオン:得意なことを伸ばしてあげるんです。やっぱり得意なことって人間没頭するじゃないですか。そうするとメニューを考えたり、イベントを考えたり、こちらが指示しなくてもどんどんアイデアが出てきて、どんどん行動する。

そうして仲間同士で刺激し合いながら成長していく、店が育っていく。二代目店長にして現在グローリーブス取締役である齊藤孝男(レオン)もファビオに個性を活かされたスタッフの一人。今では、彼自身が仲間の成長を支えている。

レオン:仕事なのできついこともあります。それでも、それすらも楽しめるスタッフが揃っている。一人ひとりが輝いて、活き活きしているんです。やっぱりスタッフが楽しそうに働いているというのは一つ、大切なことだと思います。

ファビオ:リーブスの1番の魅力は「人」なんです。九州の人って美味しいものを食べに行くのと同じくらい人に会いにいく文化。だから、今日スタッフの誕生日なんですけど、お客さんが手紙やプレゼントを持って会いにきている。彼女のファンなんです。スタッフ一人ひとりにファンがいますよ。

福岡で飲食店を営業する難しさ

大阪・南船場から始まったバルニバービ。東京進出も成功し、全国に店舗を広げている。美食の街、九州・福岡に進出を決めたのは2015年のこと。この地で「飲食」で戦うことの難しさとは...。

レオン:リーブスがある博多は企業が多い土地でもあるんです。だからどう企業の方に使っていただくかが鍵でした。僕は出身も九州ですから、地場の特性はわかっていて、博多のサラリーマンの中には「もつ鍋!焼き鳥!焼酎しか飲まんばい!」みたいな(笑)そういう方もやっぱりいらっしゃるんですよね。しょうがないかなとは思うんですけど、それでも好きになってもらいたい。地域の方々に愛されるお店になるためには、ということを考えて営業しています。

そんな中、ファビオがスタッフたちに伝えているのはとてもシンプルなことだ。入り口で元気に挨拶する。店の前が汚れていたら掃除をする。

ファビオ:結局当たり前のことが1番難しいんですよね。当たり前を当たり前にできる子たちでいて欲しい。当たり前のことを誰かがやってくれるだろうとは思って欲しくないんです。お店の顔であるゲート(入り口)では元気に挨拶する。走って迎えに行く、看板を見ていたら声をかける。どんな人が来ても僕らは絶対楽しませる!という思いをきちんと声や行動に出そうね。ということは言い続けています。

地場のネットワークが強く、なかなか他県からの参入が難しいといわれている九州・福岡。地場ならではの施策も必要だが、やはり「人と人」。

ファビオ:「お客様、どうぞ!ご案内できますよ!」って言えるか言えないかが重要なんです。「こんな気軽に入れるんだったら入ってみようかな」って思っていただけるかは僕らのあり方によって変わる。地道なことの積み重ねです。

「店長」の成長が会社を大きくする

2016年2月2日のオープンからこれまで、リーブスでは2回店長が変わり、現在は二代目レオンに変わり砥綿勇輔が三代目店長を務めている。まだ就任から約4ヶ月、店長勇輔の形を模索している。

勇輔:まだファビオさんやレオンさんに甘えている状態なので、早い段階で独り立ちできるように成長していきたいですね。ただ、まずは働いてくれているスタッフが笑顔で働ける環境をもう一度再度見直してつくっていきたいと考えています。

グローリーブスでは「一店舗一社」という考えで店舗の運営の多くの権限を店長に託している。ファビオの店長育成の大きな特徴の一つだ。大きな裁量が与えられるからこそ、自らで考え、答えを探していく。

ファビオ:レオンも勇輔もそうですが、まず仲間に「店長にしてもらう」。店長は仲間たちから信頼されなければいけない。僕が「今日からお前が店長だ」っていってもなれるものではないんです。店長として成長させてもらう。そして今度は自分が仲間を成長させる側になる。仲間たちをどう成長させるか、どう守っていくか。日々考え、経験し、あらゆる知識を吸収し、経営する力を身につけていく。「一店舗一社」という考えの中でどう結果を出していくか。その結果とは「人を育てられるかどうか」です。人が育てば自ずと数字はついてくる。

そうして人を成長させる側へと成長したレオンは「勇輔」というリーブスを任せられる人材を育て上げ取締役へ昇進。店ではなく会社を育てるファビオの片腕となった。下が育てば新しい創造へと取り掛かることができる。自らでチャンスを掴んだのだ。しかし、ファビオの後ろを追いかけるのは決して楽なものではなかった。

レオン:ファビオさんからリーブスを引き継いで1番難しかったことは、ファビオさん目当てのお客さんがあまりにも多かったこと。ファビオさんがいないってわかると「じゃあいいや」って帰ってしまう方もいました。いっとき売上も落ちてしまったし、トップが抜けるということはすごい影響があるんだなと思いました。自分が店長だけど、ファビオさんファビオさんっていう声が多い。それに悩んだ時期はありますね。

一からファンをもう一度つくっていく。ファビオではなくレオンに会いにきてもらえるように。レオンだけでなくスタッフも一丸となって新生リーブスのファンを増やした。

レオン:スタッフ皆が僕をたててくれて、みんなが支えてくれた。僕がファビオさんに厳しいことを言われたときには「大丈夫やけん!絶対とりかえしましょう!」って。ファビオさんの言っている通りです。僕はみんなに店長にしてもらいました。

強い求心力を持つファビオが抜けたことによって新しい絆が生まれた二代目レオンがつくるリーブス。最終的にはファビオがつくった最高売上を超えるほどに成長した。それを追いかける勇輔は葛藤の最中だ。

勇輔:店長に就任して1番不足していると思っていることはコミュニケーション能力です。伝わってるって思っていることも実際は伝わっていなかったりする。仲間たちともっと気持ちを繋げていきたいと思っています。

「リーブスでいっか」が100点

リーブスがオープンした2016年の11月に「博多駅前道路陥没事故」が起きた。かなり大規模な陥没だったが犠牲者は0。しかし、営業には多大な影響を及ぼした。陥没が2丁目までとあってリーブスのある3丁目には市からの保障がないなど厳しい状況の中で、ファビオも何度も市役所に足を運び現状の過酷さを訴えた。リーブスだけでなく近隣の飲食店とも手をとりあって盛り上げ、持ち直し、今の博多3丁目がある。

ファビオ:陥没した時期っていうのは僕自身「人」ではなく「数字」を追ってしまった時期で、あまり仲間の気持ちに寄り添ってあげることができなかった。精神的にきつい時期でした。すごくいいことばかりではなく、さまざまな痛みも経験しながら、仲間たちと成長してきた。それがリーブスです。

個が育ち、店長が育ち、店が成長してきたリーブス。「博多のオアシス」と呼ばれ、多くの地元民に愛されているが、目指しているところはまだ先にある。

レオン:やっぱりまだまだ1回来ただけの方とか、まだ入ったことがない方とかもいらっしゃる。バーベキューとかこたつとかパーティーとかで利用してくださるのもありがたいんですが、ただ1杯だけ飲みに来る。そんな気軽なお店になっていったら楽しいなと思うんです。

勇輔:九州の玄関になれるように。博多に来たらまずここに来る、そんなお店にできたらいいと思います。福岡、九州にリーブスありっていわせたいんじゃ!っていう感じです。

ファビオ:これだけの飲食店があるけど、「どこ行く?」ってなったときに「リーブスでいっか」という風になりたい。悩んだらリーブスでいいよねって。僕たちの九州のフラッグシップ店として九州で1番有名な店になるように。そのために個を育て、自分自身も仲間たちとともに成長を続けていきたい。

2019年10月 現在

WRITER 鎌田智春

こんにちは!&初めまして、鎌田です! Webチームで既存サイトの改修などを行なっています。ご飯が大好きでぶくぶく太ったので、最近は1日1万歩を目指して歩いています(ウォーキングマシーン)。最近覚えた呪文は「始まれば終わる」。何事もコツコツと取り組んでいきたいと思います!