2020年4月29日、三浦半島東海岸沿いに「ビーチエンドカフェ」が誕生した。 時世柄、当初の予定と大幅に変更し、モーニング営業は当面の間クローズ、来店人数の制限および短縮営業でのオープンであった。それであってもオープン日は地元客が訪れ、"密を避けた"テラスは賑わいを成していた。「ペンキ塗り終えたのね!」「いつオープンするのかドキドキしていたのよ~」こんな声は明らかに地元客だ。告知という告知は周辺のポスティングのみだったので、ほとんどの方が工事中の様子を見たり、通りすがり気になっていたという人であった。
三浦半島、南の果てにたどり着いた物件との出会い
この物件との出会いは1年くらい前のこと。空き家としてしばらく使われてなかった築40年ほどの建物が静かにひっそりと佇んでいた。三浦半島といえば、葉山や逗子に代表されるキレイな海をはじめとした豊かな自然と歴史的な文化が融合する魅力的な場所。都心から車で約1時間半という近さながら、少し足を伸ばすだけで雄大な景色が広がっている。しかし夏は半島最大の砂浜「三浦海岸」に訪れる海水浴場として多くの利用者で賑わうものの、店が位置する東海岸沿いはまだまだ賑わいが少ないエリア。東京湾を左岸に眺めながらたどる砂浜の終着地点でもあったこの建物は、まさに三浦半島の"南の果て"にたどり着いたといわんばかりの場所であった。
あるがまま、気負いせずありのままを楽しむ―モノの見方を変える視点を持つこと
「バルニバービの店ってどんな店?」よく聞かれる質問だ。
90店舗運営している中で、ジャンルや業態もエリアも様々。例えば、「GARB」。大阪・南船場から始まり、東京・丸の内、大阪・中之島...と現在"GARB"を屋号として使う店は11店舗ある。
インテリアもメニューも、もっと細かく言えば運営子会社も異なり、マニュアルもない。
ではなぜそこに「GARB」を出すのか?
もともと"garb"自体は、衣服という意味であるが、「GARB」はいつでも少し他とは違うスタイルを持ったお店であり、時代の少し先をゆき、常に何かを発信し続ける個性を大切にする我々バルニバービのメインブランド。新しいエリア、街のシグネチャーとなりうる大型物件のときに「GARB」を出店する(したい)のはそういう背景がある。
では最初の問い、バルニバービの店ってどんな店?であるが、一概に言いにくい。
なぜなら、「なんかいいよね」だから。
メニューかもしれないし、居心地の良さかもしれないし、スタッフが好みなのかもしれないし(!?)。
"なんかいいよね"には色々あって、全科目平均80点でもいいし、突出した何かが200点でもいい。そして店は月日やそこに携わる人々によって育くまれ、変化していく。だから"今現在の"流行にのることはこれからもないし、むしろ私たち自身の"流行"をお客様やスタッフとともに、作り上げていけるのだ。
目指すのは、『地元に愛され、地域に大切にされる店』
バルニバービがやってきたことは、とてもシンプルだ。
『美味しくて、楽しくて、安くて、健康な食の提供』、そんな当たり前のことを、その街やそのエリアのもつ魅力を借りながら作り上げていく。三浦であれば、まずは目の前のオーシャンビュー、そして三浦野菜や三崎漁港のマグロやサバといった鮮魚、地場の養鶏場の卵などの豊富な食材の数々。
また何よりもバルニバービを独立し、自身で会社をおこし、懸命に毎日を生きる、ビーチエンドカフェの宮浦が率いる「ビーチエンドカフェ」で働くスタッフたち。この場所を愛し、店を愛し、エネルギーをもって日々取り組んでいる。
時代と共に変わっていくこと、そして変わらないもの
はやりものは楽しいし、今風にいうならば"映え"だし、話題性がある。
かたや、伝統や老舗といわれる店や商品には長年育まれてきたその街の歴史や文化が存在する。
三浦もそんな伝統や食材、そこで暮らす人々の想いがあふれているのだ。
それを我々なりに"調理"すること、それが店をつくる、営むということなのだ。
『食』という不変なものをやり続けてきてきたバルニバービの1号店が誕生してから25年。 まだ生まれたての「ビーチエンドカフェ」は、これからたくさんの人たちを介して、10年20年と続く店になるだろう。宮浦や「ビーチエンドカフェ」のスタッフたちがつくりあげていくこの店から始まる街づくりがスタートする。