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人のにおいのする店を目指して 株式会社オーパス 代表取締役 岩水 宏展

人のにおいのする店を目指して 株式会社オーパス 代表取締役 岩水 宏展

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株式会社オーパス 代表取締役 岩水 宏展 「ありがとー」。 のんびりと帰られるお客さんに声をかける岩水。お客さんも笑顔で頷く。不思議と人なつっこさを感じる接客が面白い。「僕は店の雰囲気担当やから」と笑顔で言うが「人間臭い店を目指したい」、「普通の店じゃ面白くない」という姿勢は常にどん欲だ。大学内にありながら一般を巻き込み夏期休暇中にも驚異的な売上をたたき出す、岩水のユニークな手法がここに。

反骨精神溢れる修行時代

「高校3年生のときに『王様のレストラン』てTVドラマ見たのが飲食やりたいな、て思ったキッカケ(笑)。」 個性的なメンバーが集まり、チームが一丸となって輝くさまにあこがれ、料理の専門学校へ入学。卒業後、京都のフレンチレストランでキッチンとして勤務。この修業時代にさほど長くもない髪のことでシェフに注意を受け、それ以来、坊主アタマに...。いまではコレが岩水のトレードマーク。 「いまやから言えるけれど、若いときはもっとぶつかり合ってイライラしたらいいと思う。その反面逃げたり、他人事にした仕事をしてると、しょうもない人間になる。『岩水さんこれ違うと思うんスよ!』とかでもいい。それくらいがあって丁度いい。喜怒哀楽ないと面白くない。」 とスッパリ言いきる岩水はとにかく面白さを追求。言われたことをそのままするのではなく、自分で考え、アウトプットすることをスタッフに求める。最初のレストランを経て、その後2店舗キッチン、ホールと経験しバルニバービへ。

いきなり飛び込んだバルニバービ

「どうやって店が成り立っているか分からず、一度会社に入って勉強しようと思った。」 そのとき、アマーク・ド・パラディ 寒梅館(以下、寒梅館)のオープニングスタッフ募集していることを見つけ、佐藤社長の面接を受け、バルニバービに入社。最初は2ヶ月間、南船場のGARBで研修。 その頃、毎日のように 「佐藤社長に『お前、顔怖いねん!』て言われ続けました(苦笑)。でもこの間、『お兄さん、大阪で働いてませんでしたか?』て声かけられた。そんな右も左も分かってないときの11年前の研修時代の自分を覚えてくれているのが嬉しかった。一緒に写真とって、次もじゃあ11年後ね、て(笑)。」 その後、アマーク・ド・パラディ 寒梅館の立ち上げを担当。 「自分で勉強するしかないという環境。それが良かったのかもしれない。意見もらったり、本みたりしたけれど、最終的にはあまり気にし過ぎないようにした。中身をちゃんと噛み砕いて自分のものにする。そこから自分なりのやり方で表現する。そうすることによって上手く歯車が回るようになった。」 ARINCO京都嵐山本店や、OBU CAFEなどの立ち上げにもエリアマネージャーとして携わる。ただその中で気付いたことも。 「こうやろうや、という共有ができてなかった。バラバラになってまとまらない感覚があって、スタッフとの距離が遠いのはしんどいなと。」 そのとき、佐藤社長からもう一度寒梅館を突き詰めてみたらと打診を受ける。 「やっぱり店が面白くて突き進んでいるうちに分社化しないかと提案を受けました。気が付けばやけどね(笑)。」

セルフサービスは5秒の真剣勝負

「寒梅館はランチタイムはセルフサービス。大学生も来るけれど偉い先生も来るし、一般のお客さんも来る。そのなかでどうやって接客するか。」 限られた時間の中で印象に残るのは困難。普通ならそこに接客をするという考えも思い浮かばないのではないだろうか。 「5秒で面白いと思ってもらえるかどうかの勝負。だから『いらっしゃいませ』はやめた。」 5秒の中で『いらっしゃいませ』では距離が遠いと気付く。 「どんな偉い先生でも『こんにちは』、服を指して『ええやん、それ格好いいやーん。」とか言ってる。わざと女の子にライス大盛り渡して『あ、ごめん間違えた(笑)。』とか。一瞬でもくすって笑ってもらえたらそれでいい。心に残ってほしい。」 いまの寒梅館のスタッフ、則近、川本はそれができていると自負する。 「でも川本と一緒に帰っているときに、僕らリアクションがまだ甘いな、て反省してた。よし、出川哲朗を見習おうと(笑)。やりすぎ、というくらいが丁度いい。」 これがバルニバービのやり方。 「お客さんと僕らはある意味で対等やと思ってる。そうじゃないといい店はできない。気持ちの良い緊張感は必要。」

日常の食堂であり続けること

「ランチ、550円で美味しい寒梅館とか、変なテンションの坊主の店長いるところとかそんな認識になったらそれでOK。そこから評価してくれるのはお客さん。」 ある意味で程よい距離感。自分たちのアイデアを信じる。ただ面白いことにも真剣に向き合っていなければ激を飛ばす。 「それお前、金払いたい?って聞く。一度、自腹で支払ってみたいと思うかどうか考えろ、と(笑)。それ聞いて躊躇するようやったらそんなんあかんやん、て。」 常に話題を提供することにも余念がない。 「セットの前菜をキッシュにしてみたりね。SNSですぐ広がって女子ウケ良かったけれど、広がりすぎてすぐ飽きられた(笑)。」 すぐに次のアイデアを。 「例えばやけどパーティも、いつも同じように前菜から始まってパスタがあって、やったら面白くない。いきなりローストビーフとかドカーンと出したい。お腹空いているときに食べた美味しいお肉やったら印象残るよね。ああ、あそこのローストビーフ美味しかったなって。」どう思われるかを意識しながらも、遊び、楽しんでいる。

アクシデントを探しに行く

寒梅館は大学内にあることもあり、留学生など海外からの来店も多い。ベジタリアンであったり、宗教上の理由で食べられないものや無理難題な要望も応える。 「外国人やからといって『Thank you』て言わないようにしている。自分の母国語にプライドがあるし、どこの国から来たんですか? と聞いて、その国の言葉で『ありがとう』を言う。いまは携帯アプリもあるしすぐ調べられるんやから。それだけで距離が縮まる。」 楽しませ、融通無碍に立ち回る。 「情報を得るだけではなく、行動することが大切。思ってんのやったらやればええやん、て思う。それがバルニバービやのに。アマーク・ド・パラディ ICCの北林は考えたことを行動に移せてるし面白いよね。寒梅館ではいまは僕だけでやらんように、スタッフにこんなんやろうや、て声かけてるところ。そのあとに面白かったなぁとか、ここあかんかったなぁとか言い合う。」 ワクワクするようなことを僕らは提供する。 パーティ担当の則近が「僕らはアクシデントが起こらないか常に待っているくらい臨戦態勢の状態。なかったら探しに行くくらい(笑)。」と言う。寒梅館の変態スタッフはしっかり育っている。

提案し続けること

スタッフには発信者になることを求める。 「やったことに対して『それは違うと言われるのが怖い』っていうのは格好悪い。」 お店として提案し続けることにおいて、企画をスタッフに持ち掛けられることが、自分でやるより嬉しいと話す 「僕は雰囲気担当、普通の店じゃなくて、においのある、クセのある店にしたいし、人間臭い店を常に目指したい。」
株式会社オーパス 代表取締役 岩水 宏展 いわみず のぶひろ 2004年バルニバービに入社。アマーク・ド・パラディ寒梅館のオープニングスタッフとして立ち上げを担当。その後、ARINCO京都嵐山本店、OBU CAFEや、京都の立ち上げを担う。分社化し2013年に株式会社オーパスの代表取締役に就任。

WRITER BALNIBARBI GROUP

バルニバービグループで食を通して「なりたい自分」を体現している仲間、「なりたい自分」を邁進している仲間、「なりたい自分」を見つけようとしている仲間のリアルな今の思いや、食に通ずる情報を発信していきます。 お店の業態は違っても、「ライフスタイルに自然に溶け込む地域に根ざした店づくり」というコンセプトは同じ。 その想いに沿ったどこにもない価値を提供しています。 「道のある所に店を出すのではなく、店を出した後にお客様のくる道が出来る」 それが私たちの目指す姿です。