STORY

店と人との出会いが料理人を育てる  #3/3「料理人の本分と僕の仕事」運営推進部 山下正博

店と人との出会いが料理人を育てる #3/3「料理人の本分と僕の仕事」運営推進部 山下正博

ストーリー検索

料理人の本分は「お客様を喜ばせること」

グッドモーニングカフェでシェフに昇格した山下は、料理人の本分である「お客様を喜ばせること」に一切妥協しまいと心に決めた。 「これはバルニバービの考え方でもあるのですが、店を出る時にお客様が満足していれば、必ず身近な方を誘ってまた足を運んでくださいます。常にお客様の絶えない店になれば、売上は間違いなく伸びるので、数字(売上)ではなく、お客様を魅了するいい店を作ることを目標に知恵を絞りました」 料理でいえば、グッドモーニングカフェはカジュアルな店なので高級食材は使えない。原価に限界がある中で、下処理をきちんとするなど、リーズナブルを超える料理を提供するためのポイントを明確にした。 「チキンのプレートを作るとしたら、余分なドリップをペーパーで拭き取って、塩とローズマリーとニンニクで香りをつけて、上手にフライパンでソテーします。それにおいしいソースをかけて野菜を付け合わせればレストランと同じ逸品になりますよね」 お客様の評価は価格とのバランスで決まる。どんなに忙しくても妥協せず、しっかりやり切るということを自ら率先して行い、浸透させた。 GOOD MORNING CAFE 千駄ヶ谷

目標達成を目指すチームづくりが功を奏す

お客様を喜ばせたいという山下の思いは、料理を超えて店づくりにも及んだ。 「バルニバービがオープンキッチンを採用している理由は、キッチンにいてもお客様に目が届くように、という思いがあってのことだと思うんです」 お客様はくつろいでいるか、料理を楽しんでいるか、私たちに求めていることはないか…。ホール、キッチンの壁なく目を行き届かせて、連携しながらきめ細かく対応できるチームを創り上げた。 「僕が千駄ヶ谷の店に来た時、そこで働いているスタッフがいたので、まずは自分が仲間に入れてもらうためのコミュニケーションを上手にとって、いい営業をしていくぞという目標を共有することに力を入れました。それをみんなで実行し、できているという実感を得られるようになれば、自然とチームの絆は深まっていきます」 チームづくりで大事なことは、仕事における“楽しい”の意味を共有することだという。 「僕の仕事の“楽しい”は、気分よく働くことではありません。お客様の満足度につながるよう、料理のクオリティはもちろん、サービスにしても雰囲気にしても掃除にしても、みんなが妥協しないでできることなんです。お客様に『来てよかった』と思って帰っていただく、それがすべてなので、アルバイトスタッフにも僕の“楽しい”を理解してもらい、プロ意識をもつよう指導しました」 オシャレなカフェで働きたいという人は多く、アルバイトの採用には困らなかったが、軽い気持ちで応募してくる人がいた。そこで面接時に仕事へのこだわりを話して、共感してくれる人を採用するなど、効率よくチームづくりを進めた。 こうしてさまざまな方向から努力を重ね、スタッフが力を合わせてお客様に喜んでいただける店づくりに邁進することで、グッドモーニングカフェは地元の人が足しげく通う、愛される店へと変貌を遂げた。貸借契約満了により閉店を余儀なくされた際に、存続を熱望するお客様が、自ら動いて場所を探してくださったことからも、いかにお客様を大事にしていたかがわかるだろう。 GOOD MORNING CAFE 千駄ヶ谷メンバー達と。

愛される店づくりが評価され、更に責任あるポジションに

グッドモーニングカフェは千駄ヶ谷の成功を機に、池袋、中野、早稲田など、各地で産声をあげることになった。チェーン店ではない。1つひとつの店が、シェフの思いのこもった店づくりをしているが、料理のクオリティを確認したり、料理人の教育を行ったりする人が必要との判断で、大ブレイクの立役者・山下が、それらの店舗を統括するポジションに抜擢された。 「そこから、徐々に自分のできることをしてきて今に至っているのですが、評価されたとしたら、担当する店舗が増えても千駄ヶ谷店でやってきたことをブレずに浸透させたことだと思います」 現在は、関東の全店にまで担当エリアを広げて、人材の発掘や育成に取り組んでいる。 「僕の長所はバランス感覚のいいところ。料理人には個性の塊のような人がたくさんいますが、誰とでもうまくつき合えますし、一人ひとりの持ち味を見つけて、うまく生かすこともできます。そういう能力を会社に必要としてもらえたことはラッキーでした。料理人として技術だけをみれば、この会社でも一番ではないかもしれませんが、人を見る目では負けないと思います」 新規プロジェクトのミーティングに参加する山下

なりたい自分になる秘訣とは

「なりたい自分になる」というバルニバービのテーマを地で行く山下にその秘訣を聞くと、こんな答えが返ってきた。 「僕はバルニバービに入った時、なりたい自分をイメージできていませんでした。でも、チャンスを与えてもらい、それに全力でトライしたら、自分の持ち味に気づくことができ、自分を生かせる仕事に就くことができました。こんな僕でもなりたい自分になることができたので、誰にでもチャンスがあると思います」 そう考える理由は2つあるという。1つは料理人一人ひとりをよく見ている会社であるということだ。 「失敗しても、見捨てずに見ていてくれたから、今の自分があります。再びチャンスを与えてもらった時は、自分の店という心構えでしっかりやろうと思いました」 もう1つは、自分らしさを生かせる会社であるということだ。 「料理人の数だけ、いろいろなやり方があっていいという考え方なので、自分らしくトライすることができたんです。バルニバービが『自由度の高い会社』と言われるのは、その人その人の持ち味を生かして、代表の言う“いい店”を創れる社風だからです。この規模の会社で、そんな店づくりをしている会社はそうそうないと思うので、巡り合ったことに感謝しています」

“人”を生かすことが僕の仕事

グランシェフがいる東京に憧れて上京し、20年あまり。 「鹿児島にいる時は、今のような仕事に就くとは全く思っていませんでした。いろいろな料理人と出会い、学んだことを教えることができる仕事はやりがいがあり、どんな経験も無駄にはならないことを実感する毎日です」 手元に集まる情報だけでなく、実際に店を訪れ、キッチンに立って一緒に働きながらポテンシャルの高い人材をピックアップしていくのが山下のやり方だ。 「料理人の価値は、技術や経験だけでは計れません。ちょっとした所作やコミュニケーションの取り方など、自分の目で見なければわからないポイントがあります。だからできるだけ店に入って一緒に仕事をし、コミュニケーションをとるようにしています。向上心をもって行動している人は光るものがあるので、見逃しません」 今はまだ実力が足りなくても、いずれ戦力になるであろう人に、その後も心を配ることを忘れない。その人が今、取り組んでいることや次に目指すことをヒアリングし、的確なアドバイスを送りながら成長を見守っている。僕ができたんだからみんなもできるよ、という愛情をもって?。 山下 正博(やました まさひろ) 株式会社バルニバービ 営業本部 運営推進部 所属。
閉店の半年前に入社し、シェフ松城とともにガーブピンティーノの料理を担当。GOOD MORNING CAFEなどのシェフ、グループ会社の取締役を経て、現在、バルニバービの営業本部にて新店舗の立ち上げや全店舗の料理のクオリティを保つため人材の発掘や育成、人事を担当。

WRITER BALNIBARBI GROUP

バルニバービグループで食を通して「なりたい自分」を体現している仲間、「なりたい自分」を邁進している仲間、「なりたい自分」を見つけようとしている仲間のリアルな今の思いや、食に通ずる情報を発信していきます。 お店の業態は違っても、「ライフスタイルに自然に溶け込む地域に根ざした店づくり」というコンセプトは同じ。 その想いに沿ったどこにもない価値を提供しています。 「道のある所に店を出すのではなく、店を出した後にお客様のくる道が出来る」 それが私たちの目指す姿です。