カタカナで普通に使われている言葉になっていますが
本来は英語で「design」です。
ラテン語の「designare(デジナーレ)」が語源とされています。
「designare」には、「線を引く、描く」「記号に表す」という意味があり、 絵を描くことの「dessin(デッサン)」も同じ語源なのだそうです。
「design」には「sign(サイン)」という言葉が含まれていることからわかるように
何か特定の意味の伝達を形にすることが込められているのだと思います。
「図案」「意匠」「設計」と訳されたりします。
Wikipediaで「デザイン」を調べたら、
「審美性を根源にもつ計画的行為の全般を指すものである。意匠。設計。創意工夫」
とありました。
「審美性」「創意工夫」なんて出てきました。
「デザイン」って言葉に、いろんな意味が含まれすぎです。
これがデザインの理解を難しくしているように感じます。
これまた唐突ですが、「調理」と「料理」の違いってなんでしょうか?
「調理」は字のごとく、「調(ととのえる)」、「理(おさめる)」という意味を含んでいることから
食材を加工して味付けして整えて、食べられるようにする技術、行為を表しています。
かたや「料理」ですが、辞書には「材料に手を加えて食べ物をこしらえること」とあります。
一見「調理」と同じようですが、「料」には「おしはかる」という意味があります。
「おしはかる」は、「心中を量る」「汲み取る」「見抜く」などを意味し、
行為の対象に「ヒト」の存在が見えます。
つまり「料理」には、単に「食べ物を作る」だけではなく、
「どんな見た目や味にするのか?」「どんな食べ方で食べてもらうのか?」
「何のためにどんな料理にするのか?」といった目的と
「ヒト」に向けた行為が含まれているのです。
作られた食べ物を「料理」と呼びますが、「調理」とは言いませんよね。
食べ物自体が「料理」であり、また作り出す行為も「料理」であり、
その中に「調理」が内包されていて、
広い意味で「食べるモノ、コトを作る」行為が「料理」です。
同じことが「デザイン」にも当てはまると思います。
目でみたり触れることができる「モノ」や
体験できる「コト」など最終的な形を指すデザインと
「モノゴト」を作り上げるための技術や編集といった「行為」を指すデザインと
「行為」の指針となる目的や計画といった「考え」を指すデザイン、
これらすべてが「デザイン」です。
そして、ここからが大事なのですが、
「計画して作り上げること」が「美意識」を伴いながら
一貫して実行されているのが「本当のデザイン」です。
作り上げたモノゴトが目的を実現できる形になっていなくては
よくデザインされているとは言えません。
また、調理、料理が「美味しくすること」を前提としているように 美しくなければデザインではないのです。
これがデザインの実体だと考えます。
デザインと何か?
「役に立つ美しいもの。その計画と実行。」
「役に立たない美しいもの」
「役に立つけど美しくないもの」
「役に立たない美しくないもの」
それぞれにも役割と価値があると思いますが
「役に立つけど美しくないもの」「役に立たなくて美しくないもの」は、
デザインではないということを共有できればと思います。
デザインのわかりにくさについて、
飲食のデザインだけに噛み砕いで伝えたかったのですが、
余計わかりにくくしてしまったかもしれません。
でも、わかりにくいからこそ、もっと知ってみよう!考えてみよう!
というきっかけを作りになれば嬉しいです。
次回は「良いデザインってなんだ?」について考えてみたいと思います。
それではまた!
BALNIBARBI DESIGN WORKS
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