STORY

『何故今 地方創生を佐藤は口にするのか?  これからの時代、心豊かに暮らすためのささやかな提言』  第五回

『何故今 地方創生を佐藤は口にするのか?
これからの時代、心豊かに暮らすためのささやかな提言』
第五回

ストーリー検索
前回は緊急事態宣言発令当日の投稿で、今の日本の現状の把握とそれを踏まえた上での自らで動く覚悟と僕自身の一つのオプションとしての地方創生を淡路島に思い描き、形作れるフィールド(土地)を探そうというところで終わりました。

発令から一週間が経ちみなさんいかがお過ごしですか?

茶番だという人、コロナはただの風邪だという人、現在病院で苦しさのなか治療を受けられている人、11万人程度の感染者数がこの2ヶ月で毎日30万を超える感染者数になったインドのかなり深刻な状況、アメリカではマスク着用の一部解除、ハワイの賑わい回復、イギリスやニュージーランドの復調、日本の友人もハワイにこっそり(違法ではありませんから)行って来たとか様々な局面が見られます。

我々飲食事業者を見てみても、自粛営業をきちんと守るもの、守らないと宣言し実際守らないもの、鼻から無視して何ら変わらず営業するもの・・・僕はそれぞれが自らの思いで決断したことを議論する気はありません。もしも法律を破ればそれに見合う罰則はあるでしょうし、法的根拠のないことならそれぞれに様々な事情があり、それを踏まえ各自が判断すればいいはずで、そうするしかないからです。それを民主主義というのでしょう?もしそれが違うと言うのなら、どこかの隣国のように一党独裁の強力な軍と国家体制により力で封じ込める、ねじ伏せると言うことにでもなるのでしょうか?どちらの体制が良いのかは、生まれた時から民主主義国家であった僕には判断する知見と経験がありません。が何となくですが、今の日本の方が僕のようなヌルい人間にはあっている気もします。

勿論現行体制が完璧だなどとは全く思いませんが、よりマシであるということだと考えます。少なくとも生きる上での自由度や選択肢は我が国の方が多い気がするからです。もっともより自由をということなら、それを目的に建国されたアメリカへの移住という選択肢もあるだろうし・・・それを実行に移す人々も多くいます。

一番大事なのは他人がどうであるかではないはずです。自らがどう選択するのか?と言うことです。一部の富豪は海外に移住、もしくは財産を移転させていると言われています。それも勿論良しです。『移住することのできる経済及び生活基盤があること』、『移転する財産があること』をベースに彼らが決断したことと、そうでない一般勤労所得者が日本の地方に移り田舎暮らしを始めることとは僕の中では同義です。

叡智の限りを尽くし自らの状況を鑑み決断していく。大切な家族や仲間と共に、より豊かな(いつも言いますが広義の意味ですよ!!)暮らし・人生を歩めるための選択ができることは、この国及び世界の民主主義を採択している国家のベースメントです。権利は与えられているのです。~いや違うな、この表現~18世紀後半のフランス革命や、最近だとほんの30年前の南アフリカにおけるアパルトヘイト撤廃による先人たちの血と汗と涙と祈りにより獲得して来た権利なのです。(これは2015年国連で採択されたSDGsにも地球規模として17項目の中の約1/3の項目で表現されています)

血みどろで先人たちが獲得してくれたこの権利を行使していきましょう。それを縛っているのは、自ら設けた基準や得体の知れない常識なのではないですか?今の現状を一歩踏み出す、何かを捨て去ることへの恐怖があなたを押しとどめているのではないですか?あの矢沢永吉さんも歌っておられます『鎖をひきちぎれ!』と。

コロナは無意識に我々の心に纏っている鎖を引きちぎらせてくれる、絶好の機会である気がします。本当に今苦しいのなら、明日が見えなくて不安ならば今一歩歩みだしませんか?満員電車に揺られる暮らしを、政府や自治体の発令に右往左往し不安に苛まれる暮らしを、空が狭い都会を、季節の移ろいを見過ごしてしまい、意にそぐわない業務に明け暮れ、セクハラパワハラに耐えるそんな世界から一歩踏み出しませんか??

多分日本中の地方にはその縛りから解き放たれた暮らしが待っています。広い空が待っていてくれます。しかし都会の暮らしに慣れた、いやそれしか知らない我々にはそこで不安、不満、不足、不自由、不信、多くの『不』を感じてしまうことも事実です。それを我慢しろというのなら種類が変わるだけで都会でのそれと同じ、望まぬ暮らしになってしまいます。それでは意味はないし、地方創生は結果促進しません。

だからこそ僕は取り組もうとしているのです。地方に見られる多くの『不』をその地方の特色(地形・文化・食材・風土)をベースに、都会の切り口とは違う形でクリア可能であると僕は踏んでいます。

何よりいちばんの大きなファクターは地価です。都心部の数十分の1、数百分の1の地価はその効率性や経済的合理性追及の度合いをはるかに低くしてくれます。住宅家賃一つ取っても庭付き一軒家が数万円で借りられたりします。庭にサウナテントと水風呂、焚き火をしながら語り合い、焼き芋を頬張る。これら最高の庭活用ワンセット30万円もあれば購入できます。近隣の方々が集えるカフェがある。知人が訪ねてくれた時にお招きできる美味しいレストランや心地よいホテルがある。

我々が26年に渡り育んで来た『食』をベースとした仕事の経験がここで最大限生かされることを実感しています。6年をかけた地方創生への道の初期実験は終了しました。それは地方創生を淡路島に選んだ時から始まった物語のプロローグです。

~続く~

WRITER 佐藤 裕久

京都市上京区生まれ。神戸市外国語大学英米語学科中退、1991年 バルニバービ設立、代表取締役に就任。現在、東京・大阪をはじめ全国に90店舗(2021年1月末時点)のレストラン・カフェやスイーツショップを展開。著書に『一杯のカフェの力を信じますか?』(河出書房新社)『日本一カフェで街を変える男』(グラフ社)がある。