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『何故今 地方創生を佐藤は口にするのか?これからの時代、心豊かに暮らすための ささやかな提言』第八回

『何故今 地方創生を佐藤は口にするのか?
これからの時代、心豊かに暮らすための ささやかな提言』
第八回

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前回は淡路での取り組みの具体例を少しばかり書きました。

我々の淡路島の店で現在も多くのスタッフが働いてくれています。

2年前のレストラン立ち上げ時は、元々の淡路島に住まうスタッフはほぼゼロでした。

ではどうしたか?

他の関西エリアのスタッフに「悪いけれど今度淡路島にカフェをオープンするからそこに行ってくれないか?」と勧誘。そして多くの者は「う~ん、ちょっと気乗りしません。行ったこともないので・・」これがスタンダードな反応。

そりゃそうですよね。慣れ親しんだ店や仲間と離れることへのモチベーションは普通ありませんし、ましてや電車のない島で暮らして下さいと言って、喜ぶものはほぼいません。それでも一人一人話をし、現地に連れていき、工事現場を見せる度に『少しの期間ならいいです』くらいに変わってはいきました。どちらかというと小旅行くらいのイメージを持ってくれていたのではないでしょうか?

実際地方で飲食店を運営する上で『スタッフ問題』は大きい。そしてそれはアフターコロナを含むこれからの我々の生き方の選択肢の一つとなるであろう、『地方に住む』という決断をするにあたっての課題と近似値だと考えます。その障害とは『見ず知らずの街にアウェイとして住む不安』『今までのコミュニティをなくす不安』『住みたくなるような住宅はあるの?』『想像でしかないが何もなさそう』『交通手段の少なさと車社会にもかかわらず、免許を持っていない』『病気になったらどうする?・・医療施設への不安』『子育てと教育』・・・様々な見えない不安が腰を重くし結果踏み出せないことになります。

目標や目的達成の障壁となっていることが本質と違うのならば、その障壁は潰すべきですし、潰しましょう。発想の転換や先に何らかのささやかでもパイロットプランを具現化することで、大半の『心配・杞憂』はクリアできるのではないか?そうすれば歩み出せるはず!!という覚悟で淡路島に取り組んでいます。

つまり越えるべきハードルを越えて見せなければリアリティが生まれない・・・今回は『地方に住んじゃえ!』にリアリティを持っていただけるための投稿です。

まず何より住むところが一番大事ですよね。前回書いた宿舎ですが 購入した古い公民館を改装して使います。一階を男子、二階を女子・LGBTは一緒に考えましょう。リビングルームとテラス・サウナ小屋・ジャグジーここは前回書きましたね。できれば男子2部屋・女子2部屋をコワーキングメンバー用に確保したいと考えています。残りはうちのカフェやホテルのスタッフ用です。その部屋の利用期間は一ヶ月以上、最長で三ヶ月と考えています。それには理由があります。

まずはお試しできるように。楽しめなかったら長期出張終了って感じで街の暮らしに戻ればいいし、もし本当に淡路島ライフが気に入ったら、一軒家なり賃貸マンションなりを探すことは、それだけの期間あれば十分できるはずだと考えています。住むに最低限の装備は準備します。もちろん新装でユニットバストイレ・ベッド・デスクは室内に。食堂がわりの(給食システムはありません)リビング&テラス。大きいお風呂の代わりのサウナ(5~6名入れるやつ)みたいな感じ。ズーム会議なら各部屋で、デスクワークなら徒歩10分弱にある旧小学校を改装したコワーキングオフィスでのんびりと。食事は旧小学校一階にあるカフェテリアや、同じく徒歩12分の海沿いのレストランガーブがあります。・・・残念ながらコンビニは車でなければいけませんが(10分以内)。

とりあえず身一つで淡路ライフを始めるお試しセットとなるのではないでしょうか?その徒歩12分圏内にはただいま建設中の数々の施設があり、そこも利用できます。独身の男性が夜寂しくなってはと、スナックのような(あくまでも風俗営業ではないのでバーテンダーが女性のバー・・・横に座りません笑)バーは仲間たちの溜まり場になっていくのでしょうか?夜な夜なは森田恭通デザインの屋台のラーメン(瀬戸内の魚の節をベースにした醤油味)をすすったり。少し残念なのはスポーツ施設が今の所めどがたっていないので、ジョギング・ロードバイク(淡路島一周でアワイチってフレーズもあります)くらいかなぁ・・・。

宿舎もコワーキング施設も海沿いではないので、残念ながら海に沈む夕陽を施設からは見えないんですが、少し歩けば(5分以内)最高の夕陽が待ってくれている。先週も淡路にいたんですがもうカエルの鳴き声はかしましく、小鳥のさえずりや水鳥の鳴き声、波の音はすぐそこにあります。

そして何よりそういう形で時間を過ごすと、ご近所の方々と交流が生まれます。旧小学校庭の半分は、購入せずに地元の方のゲートボールプレイグラウンドとして残ります。また街の祭りは、そこを拠点に生み出します。現在決まっているのは二つ『オニパ』『あわフェス』共に近隣の方々を主役として巻き込んだ形を目指します。ちなみに『オニパ』は玉ねぎ(オニオン)の収穫祭のイメージです。

『あわフェス』は淡路のアワと泡のアワをかけて、シャンパン・ビール・子供達にはサイダーやレモネード。料理やデザートもエスプーマを使ったモノなんかで・・・やっちゃえ!!みたいなの・・・そしてそんなプランも宿舎利用者と一緒に考え、一緒に遊びたい!街の人々と交流したい、『街の今まで』に新しい風を吹き込みたい。そんな思いです。

多分秋口9月から10月くらいには宿舎とコワーキングスペースの詳細や条件を出せ、募集始められそうです。但し僕たちが全てお膳立てはできません。僕たちにとっても初めてのこと。お客様としてきてもらっても困ります。自らが覚悟し、日本の地方創生に何らかの道を作りたいと、与えられるのではなく、自らが何ができるのか?と問いかける同士の募集です。

WRITER 佐藤 裕久

京都市上京区生まれ。神戸市外国語大学英米語学科中退、1991年 バルニバービ設立、代表取締役に就任。現在、東京・大阪をはじめ全国に90店舗(2021年1月末時点)のレストラン・カフェやスイーツショップを展開。著書に『一杯のカフェの力を信じますか?』(河出書房新社)『日本一カフェで街を変える男』(グラフ社)がある。